研究課題/領域番号 |
09470374
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
黒野 祐一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80153427)
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研究分担者 |
河野 もと子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (70295252)
一宮 一成 大分医科大学, 医学部, 講師 (70223112)
松根 彰志 鹿児島大学, 医学部, 講師 (00253899)
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キーワード | インフルエンザ菌 / 扁桃 / CD4^+T細胞 / P6 / アデノイド / エンドトキシン / IL-1β / 免疫寛容 |
研究概要 |
ヒト扁桃における粘膜免疫応答 ヒト口蓋扁桃のインフルエンザ菌に対する免疫応答を知るために、手術によって得られた扁桃からCD4^+T細胞を分離しインフルエンザ菌外膜タンパクP6に対する免疫応答を観察した。すなわち、CD4^+T細胞を磁気ビーズ法によって分離し、これにT細胞を除去し放射線処理にて不活化した抗原呈示細胞そしてP6を加え、リコンビナントIL-2の存在下に4日間培養し、CD4^+T細胞の増殖反応を測定した。その結果、インフルエンザ菌が扁桃から検出された検体では、CD4^+T細胞の増殖反応が亢進しており、扁桃がインフルエンザ菌に特異的な免疫応答を有し、これが扁桃からのインフルエンザ菌排除に関与していると思われた。また、培養アデノイド上皮細胞にインフルエンザ菌から精製されたエンドトキシンを添加すると、IL-1βの産生が亢進することがノーザンブロット法で証明された。したがって、扁桃のインフルエンザ菌に対する免疫応答にリンパ球のみならず、上皮細胞も関与することが示唆された。 マウスにおけるインフルエンザ菌に対する免疫寛容の誘導 インフルエンザ菌ワクチンの実施に際して、頻回なワクチンの経粘膜投与が全身免疫応答の抑制すなわち免疫寛容を誘導することが危惧される。そこで、その可否を検討するために、マウスをインフルエンザ菌外膜タンパクP6で7日間連続経鼻免疫し、その後、同一の抗原を腹腔内投与し、全身免疫応答の動態をELISA法、ELISPOT法を用いて観察した。その結果、P6の頻回な経鼻投与では血清中のIgG抗体の反応は抑制されず、免疫寛容は誘導されないことが示された。しかし、より長期間あるいはより高濃度の抗原投与によってさらに検討することが必要と考えられた。
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