研究概要 |
マウスの鼓膜に穿孔を作成し,走査電子顕微鏡にて観察した。マウス鼓膜では,穿孔縁の周囲に組織壊死が生じる。緊張部の壊死部においては表皮層と粘膜層の治癒過程はそれぞれ独立して進行する。しかし,穿孔部においては,最初に皮膚層の角化細胞が角化して橋渡しをし,次に表皮下結合組織が増殖して角化組織の裏打ちをする。この時,穿孔部は繊維組織で閉鎖される。更に,粘膜下結合織が細胞外マトリックスを産生して粘膜層の修復が始まり,最後に,円柱形の粘膜細胞が鼓室鼓膜縁部分より移動してきて細胞外マトリックスの表面をカバーする。この時集まる円柱形の粘膜細胞は,いはゆる分裂能力を持つ細胞と考えられ,数日後には単層扁平上皮の形態を示した。単層円柱細胞から単層扁平細胞への分化の過程でアポトーシスが起こり粘膜細胞の減少が起こることが予測された。以上の結果は,1999年2月14〜19日フロリダで開かれたAssociation for Reasearch in Otolaryngologyにて発表した。また,原著論文として投稿予定である。 現在,鼓膜穿孔縁において産生されるケモカインについて,免疫染色と定量的測定を行っている。
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