研究課題/領域番号 |
09470375
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
耳鼻咽喉科学
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
栫 博幸 自治医科大学, 医学部, 助教授 (40201412)
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研究分担者 |
田中 秀隆 自治医科大学, 医学部, 助手 (50296109)
太田 康 自治医科大学, 医学部, 助手 (40251285)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | 鼓膜 / マイグレーション / 鼓膜穿孔 / finger-like projections / TGF-b |
研究概要 |
正常および穿孔鼓膜を組織学的に観察して細胞の移動の様式とその機序について検討を加えた。 1.透過型電子顕微鏡的観察から、骨部外耳動輪部において'Finger-like projections'の繰り返しを3回みとめた。また、鼓膜型皮膚層全体が20nmの薄い角質化した膜で覆われていることを観察した。以上より、マウス鼓膜皮膚層における表皮細胞(ケラチノサイト)の増殖・移動・分化の様式および機序について考察を加えた。 2.BrdUを用いた免疫組織学的観察から、穿孔鼓膜における表皮細胞の移動(マイグレーション)の様式を観察し、正常鼓膜に見られる'清掃のための移動(cleaning migration)'に対して'穿孔閉鎖のための移動(healing migration)'と命名した。 穿孔鼓膜では、移動中の細胞が増殖を繰り返しさらにその数を増していた。しかし、いったん皮膚層の連続が回復すると、その増殖に抑制がみられた。おそらく、接触抑制機構(contact inhibition mechamism)が機能していると予想された。 3.走査型顕微鏡的観察にて、マウス鼓膜穿孔の閉鎖は、皮膚層に始まり、粘膜層に終わることがわかった。穿孔閉鎖を考慮するにあたっては、皮膚層・固有層・粘膜層の閉鎖および治療を各々考慮しなければならないが、皮膚層と粘膜層の閉鎖・治療はそれぞれの下に起こる間葉組織の反応によって調節されており、皮膚層と粘膜層の閉鎖・治癒自体はそれぞれ独立して営まれていると予想された。 4.鼓膜穿孔閉鎖・治癒促進のために細胞増殖因子やケモカインを穿孔縁に作用させることは有効であった。しかし、作用させる溶液においては、至適濃度と至適量が存在すると思われた。また、異種蛋白を作用させることも有用であり、おそらく創傷治療の初期の過程で、その場に集積する炎症細胞の数を増加させるケモカイン的な役割を演じたと考えられた。
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