研究課題/領域番号 |
09470378
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高木 均 京都大学, 医学研究科, 助手 (70283596)
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研究分担者 |
木村 英也 京都大学, 医学研究科, 助手 (50252440)
谷原 秀信 京都大学, 医学研究科, 講師 (60217148)
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (70191963)
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キーワード | 血管内皮増殖因子 / 血管性インテグリン / 虚血性血管新生 / アンジオテンシン / 糖尿病網膜症 / 脈絡血管増殖膜 / 糖尿病硬性白斑 / 網膜血管増殖疾患治療 |
研究概要 |
我々は網膜血管増殖疾患における遺伝子治療法開発の為、血管内皮増殖因子(VEGF)による血管新生制御機構につき検討した。 血管性インテグリンavb3,avb5は血管新生を調節する重要な接着因子であるがその虚血性血管新生における役割については十分に理解されていなかった。今回我々は網膜血管内皮細胞を用いて虚血・低酸素が血管細胞の血管性インテグリンの発現に及ぼす影響について検討した。低酸素刺激によりインテグリンavb3,avb5の発現は増加し、この低酸素による調節は血管内皮増殖因子を介していることが判明した。(Invest Ophthalmol Vis Sci.in press) レニン-アンジオテンシン系が糖尿病網膜症の発症進展に関与していることが報告されているが、その詳細なメカニズムについては知られていない。我々はアンジオテンシン(AngII)がVEGF依存性血管新生を増強することを見出した。AngIIは、VEGF受容体KDR/Flk-1の発現を増加させるが、他の因子には全く影響を及ぼさなかった。この作用はAT1受容体を介するPKC依存性シグナル伝達によることが判明した。AngIIがVEGF依存性の虚血性網膜血管新生を増強し、糖尿病網膜症を増悪させることが見出され、今後カプトプリルなどのACE阻害剤やAT1受容体アンタゴニストが治療薬として有効である可能性が示唆された。(Circ.Res.in press) ヒト摘出脈絡血管増殖膜および糖尿病硬性白斑にVEGFの発現を見出した。虚血性血管新生だけでなく脈絡膜血管新生や黄斑浮腫におけるVEGFの重要性が見出された。 以上、VEGF依存性血管新生に関与する因子を同定した。これらの因子を制御することで網膜血管増殖疾患治療に応用できると考えられた。また、VEGF抑制治療が他の疾患にも有用であることが示唆された。
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