研究概要 |
1. herpes simplex virrus(HSV)抗原刺激に対するヒト末梢血T細胞反応性をみる実験系の確立 HSV抗原刺激に対するヒト末梢血T細胞の反応性を感染ウイルスを用いて前年度施行し、結果を得ていたが、感染性ウイルスを使用した場合は抗原提示による特異的な刺激によらずこれが直接T細胞に作用し、非特異的にサイトカイン産生に影響する可能性や抗体陰性者ではウイルスがT細胞にダメージを与えるが,陽性者ではダメージが少なく,その差が結果的にサイトカイン産生能の差として現れる可能性が考えられた。そこで,このような要因を除くためUV不活化したウイルスを抗原提示細胞に接種し,これでT細胞を刺激する系に変えて検討したところ、UV不活化ウイルスではヘルペス抗体陰性者の末梢血T細胞も反応することが判明した。そこで,実験系の再確立のために種々の条件について検討し、以下の結果を得た。 (1) uv不活化HSVを接種した抗原提示細胞からT細胞を直接刺激するサイトカインが産生されており,これが抗体陰性者のT細胞を非特異的に刺激してサイトカインが産生されることが判明した。 (2) 抗原提示細胞の抗原提示能を残し、サイトカイン産生能をなくすためにγ線照射を従来の25グレイから45グレイにしたところサイトカイン産生が抑制された。 (3) UV不活化HSVをCHR3株からKOS株に変更すると抗体陰性者でのサイトカイン産生が抑制された。 2. マウス角膜ヘルペスにおけるサイトカイン ヒト末梢血T細胞のサイトカイン検討と平行して,マウスの角膜ヘルペスモデルで組織化学的に角膜・リンパ節でのサイトカインの表現を検索したところTh1サイトカインが優位であることが判明した。また,IL-7とγδT細胞が関与していることも判明した。
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