研究概要 |
1.herpes simplex virus(HSV)抗原刺激に対する角膜ヘルペス患者末梢血T細胞の反応性 前年度確立したHSV抗原刺激に対するヒト末梢血T細胞の反応性を検索する系を用いて角膜へルペス患者の末梢血T細胞にて以下の結果を得た。 (1)角膜へルペス患者T細胞は抗原提示細胞に提示させたUV不活化ウィルスの刺激によってTh1サイトカインであるIFNγ・IL-2を産生したが,Th2サイトカインであるIL-10の産生はわずかであり,IL-4の産生は認められなかった。 (2)角膜ヘルペスの病態とサイトカイン産生の関係について検索したところ過去1年間に実質型の再発を認める患者においては認めない患者と比較してTh1サイトカインが高値を示し,Th2サイトカインとの比(IFNγ/IL一10・IL2/IL-10)が有意に高かった。 (3)血清中和抗体価と再発の病態との間に関係は認められなかった。 2.マウス角膜ヘルペスモデルを用いたヘルペスワクチンの検討上記のようにヒトの実質型角膜へルペスてばT細胞の反応性が角膜混濁を悪化させるが,逆に更に高い反応性が獲得されればウィルスが三叉神経節に封し込められた状態になりそもそも角膜へルペスを一切発症しなくなる可能性も期待できる。そこでへルペスワクチンによる免疫療法の可能性をさぐるためHSV膜蛋白のglycoprotein D(gD)とヒトIL-2のキメラ蛋白を作製し,マウス角膜へルペス初感染モデルにて以下の結果を得た。 (1)gD-IL2蛋白の全身・局所(結膜下)投与にて実質型角膜ヘルペスヘの進展が阻止された。 (2)gD-IL2DNlA結膜下投与にてHSVに対する液性・細胞性免疫が惹起された。 (3)gD-IL2DNA結膜下投与にて実質型角膜ヘルペスへの進展が阻止された。 (4)gD-lL2DNA結膜下投与にて眼球・三叉神経節・脳でのウイルス増殖が抑制された。
|