伸展圧反応遺伝子の分離 原発開放隅角緑内障の患者における線維柱帯切除術の際にえた切除組織から、ヒト線維柱帯細胞を培養した。ヒト線維柱帯細胞に対して、0.5%の伸展圧を30秒周期で24時間負荷した。伸展圧を負荷する装置は、私たちが以前開発したものである。細胞を回収し、mRNAを抽出した。対照として、伸展圧を負荷しない線維柱帯細胞からもmRNAを抽出した。それぞれからcDNAを合成し、抑制PCRの原理を使った引き算ハイブリダイゼーションを行い、伸展圧を負荷した細胞にのみ発現しているcDNAを増幅した。このcDNAをプラスミド・ベクターにクローニングした。ドット・プロット装置でノーザン・プロット解折を行い、伸展圧を負荷した細胞に選択的に発現しているクローンを選びだした。このうちの1つのクローンをプローブとして、ヒト眼cDNAライブラリーをスクリーニングして、その全長配列を分離した。塩基配列を決定し、遺伝子銀行で検索したところ、未知の遺伝子であることが判明した。この全長配列をブロープとして、ノーザン・プロット解析を繰り返し、伸展圧を負荷した細胞にのみ発現していることを確認した。この新しい伸展圧反応遺伝子は、伸展圧を負荷した線維柱帯細胞の他に網膜にも発現していた。この伸展圧反応遺伝子は、眼圧の感知に関与している可能性がある。 伸展圧に反応したTIMP-1とMMP-2の分泌 培養したウシ線維柱帯細胞に周期的伸展圧を72時間負荷した。伸展圧を負荷した細胞では、負荷しない細胞と比較して、TIMP-1とMMP-2の分泌が有意に増加した。
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