研究分担者 |
沢 禎彦 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (70271666)
柴田 健一郎 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50145265)
渡辺 継男 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (10064362)
山岡 雄司 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50322821)
牧野 修治郎 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (30280853)
|
研究概要 |
歯髄の微小循環系,特にリンパ管の感染防禦機構に果たす役割を明らかにすることを目的として免疫組織化学的・細菌学的に検索し,以下の結果を得た. 1.一般に,健常組織におけるリンパ管内皮細胞はPECAM-1のみを発現するが,炎症組織ではPECAM-1に加えてICAM-1,ICAM-3,およびVCAM-1も発現する. 2.顎下リンパ節のリンパ管はPECAM-1とICAM-1を発現する. 3.舌においては,上皮直下の毛細リンパ管はPECAM-1,ICAM-1,ELAM-1の3つ,またはPECAM-1とICAM-1の2つを発現するが,それ以外の集合リンパ管はPECAM-1のみを発現する. 4.炎症性サイトカインの投与により,リンパ管におけるPECAM-1発現の増強,ならびにICAM-1の発現が誘導される. 5.口腔常在菌のあるものは,内皮細胞における白血球接着因子の発現,ならびにサイトカインの産生を誘導する. 6.健常歯髄の血管においては,PECAM-1の強い発現と,MHC class II,ELAM-1およびICAM-1の弱い発現がみられる. 7.炎症歯髄の血管では,PECAM-1,MHC class II,ELAM-1,ICAM-1,ICAM-3,VCAM-1の強い発現がみられる. 8.健常ならびに炎症歯髄のリンパ管では,PECAM-1の強い発現とICAM-1の弱い発現がみられる. 9.血管におけるPECAM-1の発現が管腔側のみであるのに対し,リンパ管におけるPECAM-1の発現は,内皮細胞の管腔側と非管腔側の両者に見られる. 10.リンパ管はdesmoplakinを発現するが血管はこれを発現しない.そのため,抗desmoplakin抗体はリンパ管と血管の鑑別に有用である.
|