研究課題/領域番号 |
09470402
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松尾 龍二 岡山大学, 歯学部, 教授 (30157268)
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研究分担者 |
美藤 純弘 岡山大学, 歯学部, 助手 (20240872)
船橋 誠 岡山大学, 歯学部, 助手 (80221555)
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キーワード | 網様体 / 上唾液核 / パッチクランプ法 / 唾液分泌 / 顎運動 / 味覚 / 血流 / ラット |
研究概要 |
〈研究の目的〉 延随の外側網様体には顎口腔の自律機能や運動機能に関与する神経細胞集団がある。これら網様体の細胞は互いに連絡し、自律機能と運動機能を相互に円滑に遂行させていると考えられる。本研究計画では、新鮮脳薄切標本を用いて電気生理学的に外側網様体の性質を分析する。とくに、顎舌運動、唾液分泌、舌の血流変化に関与する神経を標識し、標識した細胞の電気生理学的膜特性、神経相互間の連絡様式、伝達物質の検索を行う。同時に、顎運動、舌運動、唾液分泌、血流変化の相互関連を行動学的に分析する。 〈研究成果〉 1) 生後1.2週目のラットの舌と顎下線分泌神経にそれぞれ蛍光色素FITCとローダミンを注入し上唾液核細胞を標識し、新鮮脳薄切標本上で、標識した細胞の活動をホールセルパッチクランプ法で解析した。その結果、顎下腺舌下腺に分布する唾液核細胞には低頻度で発火するものと高頻度で発火するものとが存在したが、舌の血管を支配する唾液核細胞は高頻度で発火するものだけであった。高頻度発火細胞は時間経過の速いA電流を有し、低頻度発火細胞は遅いA電流を有していた。このことがら、血管を支配する神経は発火頻度が高く、唾液分泌に関与する神経は低頻度で発火することが判明した。 2) 測定箱内で摂食摂水するように訓練したラットを用いて、味刺激時の唾液分泌量と口顎の筋電図活動を記録した。その結果、苦味刺激を与えると、顎舌の運動と唾液分泌の間には相関関係があったが、結合湾傍核の腹側部網様体を破壊すると唾液分泌は著しく減少し顎運動は残存した。よって、顎運動と唾液分泌は網様体で統合されると推測された。
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