研究概要 |
破骨細胞は多核の巨細胞であり、単核の前駆細胞の融合によって多核化すると考えられている。この融合過程に関与する可能性の高いメタロプロテアーゼ・ディスインテグリンファミリー蛋白質(以下MDファミリー蛋白質と省略する)をコードする遺伝子の調整を試みた。 Takahashi et al.(1988)の方法に準じ、vitamin D3とprostagrandin E2の存在下で、6週齢ddyマウスの骨髄細胞と、新生ddyマウスの頭蓋骨由来の骨芽細胞様間質細胞の共存培養を行った。培養4日目、軽いコラゲナーゼ/プロナーゼE処理で間質細胞を除去した後に、蛇毒由来のペプチドエキスタチンで処理することによってこの破骨細胞前駆細胞を高純度に回収した。MDファミリー蛋白質の間で比較的保存されているアミノ酸配列をもとに、次のRT-PCRプライマーを設計した。センスプライマー,MDC-A1:5´-CARAAYTCIKSIAGRTCRCA,MDC-A2:5´-RCAITRIAKYKYYCCRCA,MDC-A3:5-CARAYYTTICCYTCIKCRCAYTTKG。破骨細胞前駆細胞から調整したmRNAをテンプレートにし、3通りのプライマーのコンビネーションでRT-PCR反応を行い、現在そのPCR産物の遺伝子配列を解析している。本研究では、これらの遺伝子の発現をin situハイブリダイゼーションで確認することも目的の一つとしている。そのための研究として、in situハイブリダイゼーションに関する研究(Miyazaki et al. 1998 in press, Hashimoto et al. 1998 in press)、および矯正学的歯の移動モデルにおける破骨細胞の誘導形成(Kobayashi et al. 1998 in press)に関して論文発表を行った。
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