研究概要 |
最近,破骨細胞の分化因子である破骨細胞分化因子(ODF)を用いた画期的な破骨細胞形成法が報告された(Yasuda et al.(1998)).従来,in vitroにおける破骨細胞の形成にはフィーダーとなる骨芽細胞系間質細胞の共存が必須であり,このことが破骨細胞の分化成熟に関する細胞生物学的,文誌生物学的研究を困難にしていた.そこで我々は,保田らの用いたODFに修飾を加え,マウスODFの細胞外ドメイン(His132-Asp316)にヒスジンタグ(His-Tag)をつけた融合タンパク質を昆虫細胞(Sf9)で発現させ,リコンビナントODFを自作した.このODFは,マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)の共存下で,マウス脾細胞から破骨細胞を誘導することができた(未発表).すなわち,間質細胞が共存しないため,破骨細胞のみに発現している細胞融合関連分子を分子生物学的手法によって探索することが格段に容易になった.一方,我々は,4-methoxy-2-naphthylamide(MNA)をカップルさせたペプチド性基質を5-nitro-salicyladehyde(NSA)存在下で用いることにより,生きた破骨細胞のリソソーム性システインプロテアーゼ活性を可視化する方法を開発した(Kamiyaet al.(1998)).この方法は,破骨細胞融合のときに関与すると思われるプロテアーゼ活性の検出にも応用できる有効な方法であると考えている.また,in vivoでの破骨細胞形成を簡便に行う方法として,ラットの歯の移動モデルを構築し,歯槽骨表面に誘導される破骨細胞の時間的変化の検討を行った(Kobayashi et al.(1998)).
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