研究概要 |
初年度はP.gingivalis菌体から良質なmRNAを回収しcDNAを合成すること目的とした。原核細胞のmRNAはターンオーバーが早く、菌体破壊と同時にRNAを回収するためにRNAse活性阻害剤を含む菌体懸濁液でFastPrep Machine(Bio101)を応用した。その結果、分離後のtotal RNAは従来の方法に比べて格段と良質のものであった(OD260/280>1.8-2.1,OD260/OD230>2.0,23SrRNA>16SrRNA)。polyAをもたない原核細胞のcDNAクローニングを実現させるには、いかにrRNA,tRNAを取り除くかが鍵となる。total RNAを鋳型に6merのランダムプライマーを用いてSuperscriptllにより1st.stranded cDNA合成を行い、引き続いて2st.stranded cDNA合成を行った。得られた二本鎖cDNAをSizeSep 400 Columnゲル濾過でtRNA由来のcDNAを取り除いた。次いでrRNAsの除去のために、大腸菌の16S,23S rRNAの塩基配列を参考にPCR用DNAプライマーを作成し、P.gingivalis染色体DNAをテンプレートとし、ビオチン化ヌクレオチドを取り込ませるPCR増幅を行い、ゲル濾過後のcDNAとハイブリダイズさせ、ストレプトアビジンを加えてフェノール処理してrRNA由来cDNA取り除いた。その結果、tRNAはほとんど除去できたがrRNAはかなり除去できたものの遺伝子ライブラリー作製には問題が残った。最近フェノール抽出の効率の問題がいわれているので、次年度ではrRNAのテンプレートをさらに工夫し、ストレプトアビジン磁気ビーズに結合させ、rRNA由来cDNAのサブトラクションを試みる。
|