研究課題/領域番号 |
09470408
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
早川 太郎 愛知学院大学, 歯学部・生化学講座, 教授 (80064822)
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研究分担者 |
吉村 文信 愛知学院大学, 歯学部・微生物学講座, 教授 (50001962)
山下 京子 愛知学院大学, 歯学部・生化学講座, 助手 (40231659)
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キーワード | TIMP-1 / TIMP-2 / 細胞増殖活性 / 細胞内シグナリング / チロシンリン酸化 / MAP-キナーゼ / プロテインキナーゼA(PKA) |
研究概要 |
当初計画したレセプタータンパクと^<125>I-標識TIMP-2の複合体の存在を確認する実験が難航している。この困惑を打破する目的で、最近、当歯学部に文部省の私学助成で設置されたBIAcore2000を用いて、可溶化した膜タンパク画分中にTIMP-1やTIMP-2と結合する高分子成分を確認する実験を行っている。それと並行して、次年度以降に計画していた研究の一つであるTIMP-1およびTIMP-2増殖刺激の細胞内シグナル伝達経路の解明を行った。10%FCSがMG-63細胞に強いマイトジェン活性を示すことはすでに報告した(FEBS Lett 369 103 1996)が、このFCSからアフィニティーカラムで両TIMPを除去すると、そのマイトジェン活性がほぼ完全に失われるとともに、チロシン含有タンパクのリン酸化とMAPキナーゼの活性化が強く抑制されることが分かった。これにリコンビナントTIMPを再添加すると、マイトジェン活性がほぼ完全に回復するとともに、チロシン含有タンパクのリン酸化とMAPキナーゼの活性化もほぼ100%回復することが明らかとなった。すなわち、これら細胞内のシグナル伝達が血清中のTIMPのマイトジェン活性と強い相関関係にあることが分かった。 これまで両TIMPの細胞増殖活性が高濃度では強く抑制されることから、TIMPに対して高・低両親和性レセプターの存在が示唆(J Cell Sci 107 2373 1994)されてきた。この高濃度における増殖の抑制がcAMP/PKAとRas/Raf-1間のネガティブ・クロストークに基づく可能性が示唆されたので、PKAの阻害剤であるH87、H7およびK-252aを用いて調べたところ、高濃度のTIMP-1およびTIMP-2によるMG-63細胞の増殖抑制がこれら阻害剤によってほぼ完全に解除されることが明らかになった。これらの結果は、現在進行中のTIMPレセプターの単離・同定研究に貴重な情報を提供していると考えられる。
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