研究概要 |
平成9年度の研究計画に基づく実績は以下の通りである。 1)これまでの資料を検討し,顎関節の撮影のために多機能パノラマX線撮影装置が具備すべき条件を見直し,以下の事項を検討する必要性を再確認した。 (1)イヤーロッドの重鎖 (2)回転軸の位置 (3)上下方向の投影位置 (4)感光系 (5)像の拡大率 (6)垂直的X線入射角 (7)頭部の位置づけ時の利用断層域の確認方法 なお,水平的X線入射角,水平的2方向撮影の有効性,断層域を決定するための下顎頭間距離の分布についてはすでに報告している。 2)拡大率の検討 拡大率の変更は既製の装置ではできないため,回転部ユニットを改造し,実験的に至適拡大率を求める作業を進行しているが,まだ結果を出すにいたっていない。 3)垂直的X線入射角の検討 (1)現有の多機能パノラマX線撮影装置の管球焦点とフィルムの幾何学的配置から,水平面を基準として下方3°〜上方14°までのX線束が撮影に用いられていることがわかった。(2)パノラマX線写真上に投影される線分の長さは,管球焦点が位置する水平面から線分中点までの高さの影響を受ける。鉛直に線分があるときには垂直的拡大率の影響を受けるが,線分が傾斜している場合には垂直的および水平的拡大率の影響を受け像が歪むことが明らかになった。 (3)関節面の形状は線束の広がりによる垂直的X線入射角の影響を受け,歪んで投影されることが実験的にも明らかとなった。
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