研究概要 |
骨格構造がシンプルな腰椎より摘出した骨ブロックを使用して骨強度と骨格構造との関係についてより詳細に検討した。すなわち高年齢者の第3腰椎から作製した18個の海綿骨骨ブロックを使用して、骨強度と骨梁構造、bone mineral density(BMD)との関係から骨粗鬆症の治療効果判定のための骨強度指標の確立を試みた。 その結果、BMDとelasticityとの相関は低く、骨ブロックによってはBMDがほぼ同じでもelasticityは大きく異なった。そして、連続性が高く、線状で縦方向と横方向の混在する格子状の骨格パターンほど高いelasticityを示した。SKPとelasticityとの相関はsubset、sumset imageともに認められなかった。一方、Vtとelasticityはsubset image(n=1,2,3,5,6)およびsumset imageでBMDの時よりも高い相関を示し、connectivity of trabecular skeletal structureが骨強度に強く関係していることを示した。そして、VtとBMDとの相関が認められないことから、高齢者におけるBMDの骨強度への関与は極めて小さいことを示した。さらに骨粗鬆症患者への臨床応用において、大腿骨ward's三角部および第3腰椎に対する治療効果は骨格構造の改善として2値画像上に描出され、それはSkP、Vtの変動として定量評価された。 以上の結果から、morphological filter、Star Volume analysisを組み合わせることによって得られるSKPとVtは腰椎を対象とした治療効果判定のためのparameterとしてBMDよりも有効であることが示唆された。
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