研究課題/領域番号 |
09470417
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
保存治療系歯学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宇野 滋 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00168733)
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研究分担者 |
野沢 俊彦 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (20261315)
川本 千春 北海道大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60301909)
田中 享 北海道大学, 歯学部, 助手 (90179771)
佐野 英彦 北海道大学, 歯学部, 教授 (90205998)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | コンポジットレジン / 象牙質接着 / 樹脂含浸層 / 重合収縮 / 弾性 |
研究概要 |
象牙質接着機構である樹脂含浸層の弾性と各種接着システムの接着性との関係を検索した。 各被接面における弾性挙動の把握: ヒト抜去臼歯歯冠部より切り出した象牙質平面を鏡橋研磨したものを試料とした。接着システムには、3種“wet bonding system"および1種“self-etching primer system"を用いた。弾性挙動は微少表面材料特性評価システムを用い求めた。すなわち、10gf30秒間の荷重にてindentation testを行い、最大indentation depthと荷重除去後のpermanent depthの差を最大indentation depthに対する百分率で表わしたものを弾性とし、1)処理前の研磨象牙質面(湿潤状態)、2)酸処理あるいはプライマー処理した象牙質面、3)bonding resinを塗布、光重合した面、4)コンポジットレジン底面、の各表面で測定し、比較検討した。 象牙質窩洞における窩壁適合性: ヒト大臼歯咬合面を水平に切断して露出した象牙質面に直径3.5mm深さ2mmの円柱窩洞を形成。上記4種接着システムにて修復後、窩洞切断面において、窩壁における適合性を光学顕微鏡にて検索した。 結果および考察: 象牙質からコンポジットレジンまでの接着界面域を考えた場合、3種 wet bonding systemにおいてbonding resinでの急激な弾性の低下が認められたが、self-etching primer systemにおいては象牙質からbonding resinにかけて緩やかな弾性の減少が生じていた。窩壁適合性試験においては、3種wet bonding systemにおいて窩洞偶角部や窩底部において重合収縮応力の影響であるgap形成が認められ、著しく適合性が低下していた。self-etching primer systemにおいては窩洞全域で良好な適合性であった。 以上から、樹脂含浸層はコンポジットレジンの重合収縮応力の緩和に一役をになっているが、その作用は厚さには関係なく、むしろ接着界面に移行的な弾性挙動が生じている場合、有効に発揮されることが示唆された。したがって、象牙質との接着を考える場合、弾性傾斜ができるような機構が望ましい。
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