研究概要 |
各種刺激因子(rhIL-1β,rhTNF-α,LPS)で、ヒト歯肉線維芽細胞株(HGF)ならびにヒト肺線維芽細胞(WI-38細胞)を刺激後、IL-1α,IL-1β,IL-1receptor antagonist(IL-1Ra),IL-1β converting enzyme(ICE)におけるmRNA発現をnorthern blottingにて確認した。 その結果、両者の細胞ともrhIL-1β,rhTNF-αで刺激した場合において4種のmRNA発現が確認され、IL-1α,IL-1βのメッセージは刺激後6h前後で、IL-1Ra,ICEは刺激後12h前後で発現peakを示した。しかし、LPSによる刺激(0-100μg、0-72h)においては各mRNA発現はほとんど確認されなかった。 また、同様の刺激条件培養後、両細胞のIL-1α,IL-1βおよびICEのタンパクプロセッシングを、培養上清,cell-lysateで確認した。 その結果、歯肉線維芽細胞においては、IL-1αが細胞画分において認められ、western blottingにて31kDaと17kDaの両者のタンパクが確認された。また、Ca^+イオノフォアを添加することでmaturationが増加することも確認された。IL-1βに関してはELISA法にてその産生が確認されるが、その量はIL-1αと比較して著しく少なく、現在western blottingにて検討している。また、ICEに関しては、western blottingにおいて検出できなかった。 以上の結果から、HGFならびにWI-38細胞においては活性型ICEのプロセッシングは発現していない可能性があり、そのためIL-1βのプロセッシングは発現していないことが示唆される。可能性がありことが示唆され、一方、細胞画分内のIL-1αは線維芽細胞が産生する主要なIL-1であり、周囲細胞へのシグナル伝達において重要な役割を担っていることが示唆された。 今後は、同細胞にICEgeneをトランスフェクトしそのタンパクプロセッシングを促進させ、IL-1βプロセッシングにおける活性型ICEの関与を明確にし、線維芽細胞のIL-1産生の機構を明らかにしていくことを計画している。
|