研究概要 |
1. 臨床への応用 歯冠補綴物作製用CAD/CAMシステムを用いて、実際に臨床への応用を行い、システムの有効性について検討した。まず、従来通り印象採得、咬合器装着を行った。そして計測用模型を作製し、非接触式歯科用三次元計測機を用いて、支台歯、隣在歯、対合歯(バイト材)を計測した。計測ピッチは0.1mmで行った。ただし、従来通りの咬合器に装着した模型以外に計測用の模型を作製しなければならないことは、製作時間や精度への影響があると考えられるため、今後効率的な方法を考える必要がある。計測データは、CAD用コンピュータへ転送され、歯冠形態の設計を行った。時間はある程度かかるもののクラウンの設計は行うことができた。そして、加工用データへ変換して、専用加工機を用いてクラウンを作製した。そして、実際の口腔内に装着を行い、今後経時的に予後診査を行う予定である。 2. 歯学教育への応用 まず、実習用メラミン歯は無処理では計測エラーが生じたが着色処理を行うと良好な形状が得られた.また、支台歯の計測条件(計測ピッチ)は0.1mmが最適条件であると考えられた.計測時間は1歯約4分であり,実用可能な範囲内であると思われた.そして実際に本学歯学部6年生52名が,ファントムマネキン上で支台歯形成を行った支台歯を上記条件にて計測を行った.計測データはCAD用コンピュータに転送され,1歯ずつCAD画面上で近遠心軸面と頬舌側軸面のそれぞれの対向する傾斜角を計測した.本研究では,最も容易に行うことのできる支台歯軸面の傾斜角度を評価したが,本法の特徴としてCAD画面上で三次元モデルを自由に表示することができ、計測データを処理することにより様々な計測が可能と思われ,さらに評価項目を増やし総合的な評価法を確立することにより,的確な指導が可能となり,より高い教育効果が期待できるものと考えられる. 3. 切削用材料についての検討 金属・セラミックスなど実際に切削加工試験を行い、歯冠補綴物作製用CAD/CAMシステムに適した材料の検討を行った。昨年度に引き続き、特に歯冠修復材料の摩耗に関する実験を行い、切削加工用レジンブロックと他の歯冠修復材料との比較検討を行った。
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