研究課題/領域番号 |
09470431
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菊池 雅彦 東北大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60195211)
|
研究分担者 |
渡辺 誠 東北大学, 歯学部, 教授 (80091768)
服部 佳功 東北大学, 歯学部, 助手 (40238035)
伊藤 正敏 東北大学, サイクロトロンRIセンター, 教授 (00125501)
|
キーワード | 咀嚼障害 / 高齢者 / 義歯 / ポジトロンCT / PET / 脳機能 / 咀嚼筋活動 / 舌筋活動 |
研究概要 |
多数歯欠損、義歯不適合などのために咀嚼障害を有する患者に、新たに義歯を装着することが患者の感情や行動を司る脳機能にどのような影響を及ぼすかを科学的に解明することは、高齢化社会を迎える先進諸国においては重要なテーマである。これまで、健常者のガム咀嚼時における両側運動感覚野の局所脳血流上昇および大脳全体の血流上昇、すなわち咀嚼による脳の賦活効果が明らかにされているが、各咀嚼筋や舌の運動機能と脳機能との相互の関連は不明であった。そこで初年度(平成9年度)は本研究の端緒として、咀嚼筋および舌の機能的役割に焦点を当て、これらの筋の協調活動様式をPETによって定量化することが可能か否かを検討するために、18F-フルオロデオキシ-D-グルコースをトレーサーに用いて、健常者のガム咀嚼時における咀嚼筋および舌筋の組織糖代謝測定を試みた。 その結果、咬筋、側頭筋のみならず、これまで技術的に筋活動の測定が困難であった内側翼突筋、外側翼突筋、舌筋の活動測定に成功し、一定の咀嚼運動に対応した咀嚼筋、舌筋の活動を同時に定量化することが可能となった。また、咀嚼筋では同一筋内でも部位による不均質な活動が観察され、咀嚼筋内部の機能的分化を捉えることに成功した。一方、ガム咀嚼時の舌筋の活動が咀嚼筋群よりも高いことから、咀嚼における舌の役割の重要性が示された。さらに、被験者に左右側いずれか一方でガム咀嚼を行わせたときの各筋の活動を同様にPETで測定したところ、明らかに左右側で異なる筋活動様式を定量化・画像化することに成功した。以上のことから、筋全体の活動量や同一筋内の不均質活動を定量化し各筋の協調活動を分析するにはPETがきわめて有効であることが明らかになった。 次年度は、各咀嚼筋と舌の活動がそれぞれ脳機能にどのように関与しているかを明らかにする予定である。
|