研究概要 |
本年度は咀嚼による脳の活動を明らかにする目的で,Fristonらの方法に従い脳画像解析用ソフトSPM96を用いて,ガム咀嚼を行わせたときの脳のPET画像を解析した.他方,義歯評価法の一つとして義歯の維持力を測定するためのトランスデューサを開発し,その有効性を検証した. 1. ガム咀嚼による脳活動の特徴 1) 咀嚼時には両側の一次感覚運動野,運動前野,小脳が活動し,咀嚼様式を変化させることにより各領域の活動の程度は変化することが明らかとなった.片側性の咀嚼では,一次感覚運動野,運動前野,小脳において両側性の活動を示すものの,その活動の程度は左右で異なることが明らかとなった. 2) 任意側咀嚼と右側咀嚼とを比較した際,その脳活動パターンに違いがあることが明らかとなった.すなわち,任意側咀嚼の際は右側咀嚼に比較して,右側一次感覚運動野でより高い活動が観察され,右側咀嚼の際は任意側咀嚼噛に比較して左側視床,右側被殻,左側橋,右側小脳中葉に高い活動が観察された. 2. 義歯維持力測定用トランスデューサの開発 1) 真鍮製角柱にステンレススチール板を固定し,ステンレススチール板の中央にストレインゲージ,先端にフックを取り付けてトランスデューサを製作した. 2) このトランスデューサの校正を行ったところ,4Nまでの範囲できわめて高い直線性が得られ,10名の被験者における口蓋床の維持力測定の結果,臨床応用が可能であることが示された.
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