研究概要 |
本研究補助金により導入した身体計測システムを用いて,手指の微小循環血流の記録をおこない,下顎位の違いによる身体機能への影響について検討をおこなった.その結果,レーザー組織血流計を用いて測定した手指の微小循環血流量は,恒常性を有しており,臨床上,血流測定の有用性が示された.そして,健常有歯顎者10名を被験者とした基礎的実験において、下顎位の違いが手指の微小循環血流に影響を及ぼすかどうかを分析した結果, 1. 変更下顎位をとらせ,座位のまま頭部を安静に保った状態で測定した場合,手指の微小循環血流量は有意な変化が現れなかった. 2. 変更下顎位をとらせ,立位にて頭部を前屈側屈させた後に座位にて測定した場合,手指の微小循環血流量に有意な差が認められた. これより,下顎位の違いが手指の微小循環血流に影響を及ぼす可能性が示唆された. また,当教室既存のモアレ写真撮影装置を用いて健常者50名,下顎偏位者50名の顔貌の非対称性について三次元的に分析をおこなった結果,顔貌を3次元的にとらえる有効な計測項目を見いだした.さらに,両者とも各部位において左右非対称が確認されたが,下顎偏位者においてはその度合いが健常者に比べて大きかった.また,部位により左右非対称の現れ方に特徴があることが示唆された.
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