研究概要 |
ニホンザル2頭の両側下顎臼歯および第1大臼歯を抜去し,3ヵ月間以上の治療期間の後,同部にシリンダータイプチタンインプラントを2本ずつ埋入した。インプラント埋入後3ヵ月あるいは上部構造装着後3ヵ月で動物を屠殺しインプラントを含む下顎骨を摘出した。 摘出した下顎骨を2本のインプラントの近遠心端から1mmの長さにトリミングした後,レンジ包埋して組織ブロックを作製した。このブロックの近心側のインプラントを75μmずつ研磨し,その断面像を万能投影機上で10倍に拡大しトレースした。トレース像をデジタイザーを用いてパーソナルコンピュータに取り込み,独自に開発したアルゴリズムを用いてインプラントおよび周囲骨の三次元構築像を作成した。 また,三次元構築データは一辺が75μmの立方体要素によって構成されており,これを一辺が300μmの要素で構成される有限要素モデルに変換するプログラムを現在までに開発している。これにインプラント-骨界面の形態をより正確に再現するための新しいアルゴリズムを追加し,現在その有用性について検討中である。 本年度は,スクリュータイプインプラントの埋入および三次元構築は行っていないが,それを除けばほぼ当初の予定通り進んだと思われる。 今後,得られた三次元構築データとアルゴリズムを新たに追加したプログラムを用いて,生体を反映した有限要素モデルを作成し生体力学的解析を行うことで,より信頼性の高い結果が得られると考えられる。さらに,種々の荷重条件を与えることにより上部構造の設計,埋入条件などの異なる状況をシミュレートし,それぞれの状況における力学的挙動を明らかにできるものと考える。
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