研究概要 |
レジン硬化物の靱性を向上させることを目的として,フェニル基やシクロ環などのハードセグメントおよびメチレン鎖,エチレングリコール鎖などのソフトセグメントを有する数種の低分子量のポリウレタン系ジメタクリレート(UDMA)を合成し,その反応性を示差走査熱量計(DSC)を用いて検討した. 構成原子団およびビニル基間距離の異なる9種のUDMAの合成は,メチレン鎖,フェニル基あるいはシクロ環をそれぞれ有するジイソシアネート(HDI,MDI,HMDI)にモノヒドロキシメタクリレートであるHEMA,2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA),6-ヒドロキシヘキシルメタクリレート(HHMA)あるいはトリエチレングリコールメタクリレート(TEGMA)を付加させた.HHMAおよびTEGMAは,それぞれヘキサンジオールまたはトリエチレングリコールにメタクリル酸クロライドを付加させ,合成した.また,疎水性原子団を有する低粘性モノマーであるDMBはカテコールにメタクリル酸クロライドを付加させ,合成した.合成物の確認は^1H-,^<13>C-NMRおよびFT-IRにより行った.合成した9種のUDMAのうち,HEMA-HDI,HHMA-HDI,HPMA-MDI,HHMA-MDIおよびHEMA-HMDIの5種のUDMAは結晶状態を示し,HPMA-HDI,TEGMA-HDI,TEGMA-MDIおよびHPMA-HMDIの4種は液状あるいはワックス状態であった.また,DMBの粘度は,歯科用コンポジットレジンなどに使用されているTEGDMAとほぼ同程度出会った. 合成したUDMAの重合反応性をDSCを用いて測定したところ,UDMAの分子量がおおきくなるほど,ビニル基の重合に伴う1モル当たりの発熱量が減少し,重合率が低下することがわかった.
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