研究概要 |
研究業績の概要:前装歯冠材料として,審美性や操作性を維持しながら口腔内の大きな応力を負担する新しい材料およびシステムの開発を試みた.本研究の特徴は,硬さや圧縮強さの向上を期待するのではなく,強さと伸びやたわみも大きい高い靭性を有し、ビスフェノールAを骨格としないレジンの開発と,ガラス質フィラーの複合化によって破壊に対する抵抗力を向上させることに観点を置いたのが特徴である. システムの構成:表層部は審美性と操作性の観点から光重合型高靭性ジメタクリレートとシリカ粒子との複合材料とし、基層部は靭性の高いエポキシレジンを使用し、賦形後に加熱重合するガラス繊維複合材料とし、全層の弾性率に傾斜機能を持たせた. 結果: 1. 高分子材料自体の強さの向上……新規モノマーの分子設計と合成を行い,ジメタクリレート,エポキシレジンともに内分泌撹乱物質として疑問の持たれているビスフェノールAを骨格とせず,靭性の高いレジンの開発に成功しつつある. 2. 傾斜機能材料の検討……機械的性質の異なる材料の接合方法を検討するため,光重合ジメタクリレートと加熱重合エポキシレジン共存下での相互の反応性を熱分析により検討した.その結果,いずれかのモノマーが重合するとゲル硬化物中の別のモノマーの反応性は低くなるが,基層材料の上に表層材料を積み上げ,光重合しながら賦形した後110〜130℃で加熱重合させると良好な重合ができることを見い出した. 3. 靭性の高い前装歯冠硬質レジンを開発することができた.
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