研究課題/領域番号 |
09470445
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
土井 豊 朝日大学, 歯学部, 助教授 (40116067)
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研究分担者 |
亀水 秀男 朝日大学, 歯学部, 助手 (00152877)
若松 宣一 朝日大学, 歯学部, 助手 (00158594)
足立 正徳 朝日大学, 歯学部, 講師 (60076057)
後藤 隆泰 朝日大学, 歯学部, 講師 (30121320)
森脇 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (90028738)
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キーワード | セメント / 生体親和性 / 生体材料 / 生体内吸収性 / 骨補填材 / 炭酸含有アパタイト |
研究概要 |
炭酸含有(約12wt%の炭酸イオン及び約4wt%のナトリウムを含む)アパタイトを1700℃の高温で加熱すると、化学量論組成のアパタイトの他にリン酸四カルシウム(Te-CP)、βーリン酸三カルシウム(β-TCP)、酸化カルシウム及びナトリウムカルシウムリン酸化合物(Na_3Ca_6(PO_4)_6))を副産物をして生成する。この5相は機械的な混合状態では得られないサブミクロン以下の微結晶集合状態で存在し、希薄リン酸溶液で練和すると強度は不十分ながらアパタイトを形成しながら硬化することを見い出した。本年度の研究では、練和液として生体許容性のリンゴ酸、クエン酸などを用い、硬化時間、硬化体の圧縮強度並びに練和泥のpHの経時変化などを検討した。その結果、いずれの練和液を用いても硬化時間は酸濃度に比例して短くなり、30wt%酸濃度では、粉液比3.1-2.2の範囲内では6分以内で硬化し、特にリンゴ酸を用いた場合には3分程度で硬化することを確認した。また、粉液比3.1で30wt%リンゴ酸で練和したものを37℃、100%湿度中に1日弱保管した硬化体試料は、比較として用い、同条件で保管した市販のカルボキレートセメントより高い圧縮強度(520kg/cm^2)を示すことを明らかにした。また、練和泥のpHの経時変化を自動取り込みした結果、いずれの練和液を用いても、練和泥のpHは比較的短時間内に中性領域に達し、それ以降はpH9近傍の弱アルカリ領域を維持することがわかった。同時取り込みしたカルシウム濃度は1日後でも2mM以下の値を示し、溶出量に換算すると0.3%以下となり、練和直後に練和泥を水中浸漬したことを考慮すると、溶解量が極めて低いことが示唆できた。また、計測中、セメント硬化体の崩壊は認めれず、崩壊量も極めて低いことが想像できた。現在、上述の練和液にリン酸を添加し、アパタイトの析出を促進し、さらに硬化反応がより中性近傍で推移する条件を検討中である。いずれにしても、練和液として高分子有機酸を用いると、歯質との接着並びに生体内での吸収も期待できる、高強度かつ生体親和性に富む実用的な歯科用セメントの開発を続行していく予定である。
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