研究概要 |
本課題について以下の各研究テーマを設定し、それらから得られた成果の概要を示す。 1.顎関節滑液(原液採取)中の軟骨破壊マーカーの解析 (1)C64,C4S,HAの不飽和二糖のHPLC法による解析:顎関節滑液中のC64,C4SおよびHAの測定値は変動係数が大きく、比較のためにはC6S/C4S,C4S/HA,C6S/HAなどの比が有効であり、特にC6S/C4S比ではリウマチと関節円板障害との間に有意差が見られた。 2.顎関節滑液(希釈回収)中の炎症マーカーの解析 (1)IL-1,-6,-8の測定:顎関節滑液中のIL-1,-6,-8を同定した。 (2)MMP-2,-3,-9の測定:顎関節滑液中のMMP-2,-3,-9を同定した。 (3)PGE_2の測定:顎関節滑液中のPGE_2濃度はVASスコアなど疼痛を表す指標と関連が認められなかった。 以上から、顎関節における微量滑液検査は、検査法としてさらに検討および改良を加えることにより、顎関節ばかりでなく他の小関節におけるRAとOAとの鑑別および早期OAの判定などに臨床応用の道が開けると思われる。 今年度における研究成果の検討より、今後の課題を以下に挙げる。 3.今後の課題 (1)軟骨破壊マーカーの解析としてコンドロカルシンChondrocalcin(C-propeptide of type II collagen)の測定(EIA測定法)を追加する。 (2)炎症性マーカー、特にMMPおよびTIMPファミリーの解析を追加する。 (3)現在進行中である滑膜培養系において、上記の各種マーカーの発現ないし産生機構を検索する。
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