研究概要 |
新しく開発されたコイト白色レーザー(小糸製作所,ホロー陰極型He-Cd)は、光の3原色である赤・緑・青の波長(635.5nm、636.0nm,533.7nm、537.8nm,441.6nm)を1本のレーザー管から同時に発振するという特徴を有する。これらの波長は理想に極めて近い波長のため色の再現領域が広く、優れた画像処理が可能である。我々は、本レーザーを光源に用いて過去に報告されている測色計の問題点を克服した新しい非接触型の生体色素測色システムを開発し、また口腔癌診断にも応用して本システムの有用性について検討した。生体色素測定部位からの反射光は、測定用ファイバーから受光・分光器を通してパーソナルコンピューターに取り込まれる。記録方法は、まず測定前にコントロールとして基準板(白色紙)に白色レーザーをあて、その反射光の赤・緑・青の各成分別にそれぞれを100%とする。次に測定部からの反射光の3つの成分を基準光(コントロール)に対する反射率(%)で表示する。口腔癌診断には励起波長として441.6nmのみを用いる。生体色素測色時は、最大出力で行うが口腔癌診断時は、10〜20%の出力で行う。測定部の蛍光を測定用ファイバーを通して分光器(浜松ホトニクス社製PMA-11)に導き、NECパーソナルコンピューターに取り込み画像解析・データの保存を行った。 本システムは、生体色素測定の動物実験において正確かつ瞬時に無侵襲で測定可能でかつ再現性もあり操作も簡単であることが証明された。臨床症例でもその有用性が認められた。口腔粘膜の固有蛍光を利用した口腔癌診断において高い診断率が得られ有用であった。
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