研究課題/領域番号 |
09470458
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中村 誠司 九州大学, 歯学部, 講師 (60189040)
|
研究分担者 |
白砂 兼光 九州大学, 歯学部, 教授 (30093420)
岸原 健二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (80214774)
|
キーワード | 免疫 / 口腔扁平上皮癌 / T細胞クローン / T細胞レセプター / 遺伝子クローニング / 腫瘍関連抗原 |
研究概要 |
癌に対する生体防御機構の一つとしてT細胞を中心とした免疫応答が重要な役割を担っていると考えられている。本研究の目的は、口腔扁平上皮癌に対する抗腫瘍T細胞のT細胞レセプター(TCR:T cell receptor)およびその認識抗原を同定することである。そのために、以下のような研究を行った。 1)抗腫瘍T細胞クローンの樹立:生検腫瘍組織をIL2の存在下で1週間組織培養後、放射線照射した自己末梢血単核球とPHAなどを加えてさらに刺激を加えてT細胞を増殖させ、限界希釈法によりT細胞クローンを樹立した。現在、T細胞クローン数を増やしている段階で、今後はそれらのサブセット、TCR遺伝子、認識抗原を解析する予定である。 2)抗腫瘍T細胞のTCR遺伝子のクローニング:生検腫瘍組織から抽出したRNAより逆転写酵素を用いて1本鎖cDNAを作製し、TCR V領域のVαおよびVβの各遺伝子ファミリーに対応するプライマーと、それぞれTCR C領域のCαおよびCβに対応するプライマーとでPCR法によりDNAを増幅した。PCR産物のサザンブロット解析により腫瘍組織内に多くみられるTCR V領域の遺伝子ファミリーを検討したところ、一部のTCR Vβ遺伝子ファミリーが高頻度に発現されていた。さらにSSCP法によりそのクローナリティーを検討したところ、特定のTCR Vβ遺伝子ファミリーでクローナルに増殖したT細胞クロノタイプが検出できた。現在、そのクローナルに増殖したT細胞クロノタイプのTCR Vβ遺伝子の塩基配列を決定している段階で、この塩基配列をもとにTCR Vβ遺伝子のcDNAをクローニングする予定である。 腫瘍周囲に多く発現されているTCR遺伝子がクローニングできれば、それを用いてT細胞が認識する腫瘍関連抗原を同定する予定である。
|