研究課題/領域番号 |
09470459
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
山口 晃 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10210353)
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研究分担者 |
藤田 芙美恵 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40295358)
井手 隆 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70274933)
田中 信幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50163548)
小田島 哲世 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00177239)
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キーワード | 口腔癌 / p53 / 予後因子 / 生存率 / 腫瘍マーカー / 免疫組織化学 |
研究概要 |
p53遺伝子は癌抑制遺伝子として知られるが、その変異型である変異型p53遺伝子は種々の悪性腫瘍に発現し、癌化、増殖に重要な役割を果たしていることが報告されている。本研究ではp53蛋白の発現が予後因子として意義があるかどうかを検討した。症例は口腔扁平上皮癌の患者120例で、ホルマリン固定パラフィン包理生検組織切片に対してp53蛋白のモノクローナル抗体(DO-7)を用い、p53蛋白の発現を免疫組織化学的に検索した。p53蛋白陽性細胞の割合30%以上を陽性、以下を陰性とし、さらに陽性症例はp53陽性細胞の局在性に関して、限局方(focal)とびまん型(diffuse)とに分類した。これら免疫組織学的所見と臨床病理学的所見との関連、ならびにkapran-Melyer法による5年累積生存率を解析した。その結果、p53陰性例65例の5年累積生存率は79.7%であったのに対し、p53陽性55例では61.1%であった。さらに陽性例を染色パターンから限局型とびまん型に細分類して比較検討すると、限局型19例の5年累積生存率は94.7%であったのに対し、びまん型36例では46.2%であり、有意に低下していた。このことはびまん型の症例では変異型p53蛋白の発現を示し、一方限局型の症例は野生型p53蛋白の発現を示している可能性が示唆された。またp53陰性症例は術前化学療法が有効な症例が多いことから、p53蛋白の発現が臨床像を把握する上で有効であり、口腔癌の予後因子として意義があるものと考えられた。この結果は第14回国際顎顔面外科学会において発表予定である。 今後はp53の遺伝子レベルでの異常発現の解析と免疫組織学的所見、臨床病理学的所見との関連について群細に検討する予定である。
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