舌骨の制御を解明する目的でラットを用いて上気道の保持と密接に関係するオトガイ舌骨筋の神経支配経路を検討し、以下の結果を得た。 1)オトガイ舌骨筋は舌下神経本幹を経由する運動ニューロンと、頸神経ワナを経由する運動および感覚ニューロンによって支配されていた。 2)舌下神経本幹を経由する運動ニューロンの細胞体は舌下神経核膜外側亜核に位置し、嚥下運動時に活動した。 3)頸神経ワナを経由する運動ニューロンの細胞体は、舌下神経核膜内側亜核に位置し、末梢において舌下神経内側枝と舌下神経オトガイ舌骨筋枝の分岐部付近に局在する神経細胞とシナプス接合していた。 4)オトガイ舌骨筋の筋紡錘からの感覚情報は頸神経ワナを経由して伝達され、感覚ニュ一ロンの細胞体は脊髄神経節に存在した。 これらの結果から、オトガイ舌骨筋は舌下神経本幹を経由する体性神経系と頸神経ワナを経由する副交感神経に類似した神経系による2重支配を受けていることが明らかになった。
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