研究課題/領域番号 |
09470464
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
白川 哲夫 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00187527)
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研究分担者 |
長谷川 智一 北海道大学, 歯学部, 助手 (50274668)
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助教授 (20162802)
加我 正行 北海道大学, 歯学部, 助教授 (70125300)
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キーワード | ヒト歯根膜由来細胞 / 伸展刺激 / 一酸化窒素(NO) / RT-PCR / NO合成酵素(NOS) / チロシンキナーゼ / Embryonal Fyn-associated substrate |
研究概要 |
培養下において、歯根膜由来細胞(PDL細胞)は線維芽細胞に類似した形態ならびに増殖能を有する。その一方で菌根膜細胞固有の性質、例えば硬組織誘導能、サイトカイン産生能を持つとともに、破歯細胞の分化調節にも関与していることが知られている。本研究では、まず機械刺激に対するPDL細胞の応答性について調べ、以下のことを明らかにした。 1)Flexercell Strain Unit Systemを用いて、ヒトPDL細胞に直接伸展刺激を加え、一酸化窒素(NO)産生量とNO合成酵素(NOS)の発現について調べたところ、12時間の伸展刺激後における培養液中のNOの増加量は、静置培養に比べ、伸展培養では約3倍あった。 2)RT-PCR法により、伸展培養および静置培養両方において血管内皮型NOS(ecNOS)のmRNAの発現を認めた。さらに伸展培養後の細胞でecNOS蛋白が存在することをWestern blot法および免疫染色により確認した。 伸展刺激がどのような細胞内情報伝達系を通じてPDL細胞のNOS活性を上昇させるのかについては、いまだ十分なデータが得られていない。また産生されたNOが菌周組織においてどのような働きを持つのかについても明らかにされていない。本研究ではSrcファミリーチロシンキナーゼがPDL細胞の細胞内情報伝達メカニズムに関与し、NOS活性を調節している可能性を検証するため、Fynによってリン酸化を受けることが報告されているEfs(embryonal Fyn-associated substrate)の細胞内局在をヒトEfs抗体を用いた免疫染色により明らかにした。Efs蛋白はPDL細胞の細胞質、特に核周囲部に存在することが明らかとなった。現在、Efsに対するターゲッティングベクターを作製し、PDL細胞のNOS産生能ならびに破歯細胞誘導能への影響について研究を継続している。
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