研究概要 |
1.人工的初期齲蝕エナメル質へのレーザー照射による影響について (1)エナメル質表面の形態的変化(SEM観察) 矯正的理由により抜去された幼若小臼歯に人工的初期脱灰巣を形成(6%セルロース入りpH4.5の乳酸緩衝液に4日間、8日間浸漬)した後、エナメル質表面に1)レーザー照射、2)レーザー照射後APF塗布、3)APF塗布後レーザー照射の処理を施しその直後のエナメル質表面をSEM下で観察を行った。また、前述の1)、2)、3)の各処理後に再石灰化液に2週間浸漬し、同様にSEMにて表面の観察を行った。その結果以下の所見を得た。 (1)4日間脱灰のエナメル質表面は、1)、2)、3)いずれの処理直後も細かなクラックがみられたが、8日間脱灰エナメル質においてはAPF塗布後レーザー照射エナメル質がクラックの形成が少なかった。 (2)各処理後再石灰化液に浸漬したエナメル質表面は、いずれも石灰化物が一層沈着した像が見られたが、フッ素塗布後レーザー照射エナメル質がもっとも平滑であった。 (2)エネメル質表層下のCa,P,Fの動態について(EPMA観察) (1)8日間脱灰後各処理直後の表層下についてEPMAにより観察したところ、レーザー照射後フッ素塗布エナメル質の表層下にはフッ素の取り込みが殆ど見られなかったが、フッ素塗布後レーザー照射エナメル質の表層下では、フッ素濃度が高い部位が認められた。 2.レーザー照射象牙質に対する線維芽細胞の接着について ウシの前歯歯根象牙質切片にNd:YAGレーザーを照射して、その切片上にヒト線維芽細胞を播種して2日間培養して観察したところ、レーザー照射象牙質への接着を認めた。
|