研究概要 |
歯周疾患に関しては疾患の発生,進行様相すら未だ不明な部分が多い。そこで,この研究の目的は歯周疾患モデルの構築を試み,さらに,それぞれの危険度を算出しながらリスクファクターを特定しようというものである。 本年度は第1回目のコホート調査を遂行した。ベースライン調査の対象であった71歳(1999年)599名の中から,同意が得られた488名,さらに,その中から有歯顎者449名が本年度の対象であった。基本的な歯周情報として,平均出血部位数,歯石沈着部位数,平均ポケット深さ,平均アタッチメントロス,は1998年のそれぞれ6.5%,9.1%,2.01mm,3.08mmから1999年の7.3%,3.6%,2.11mm,3.28mmに変化した。ポケット深さの個人最大値の50パーセンタイル,80パーセンタイルはそれぞれ5.0mmから5.5mm,6.5mmから7.0mmに,アタッチメントロスの個人最大値の50パーセンタイル,80パーセンタイルはそれぞれ7.0mmから7.5mm,9.0mmから10.0mmに変化した。部位単位で見たポケット深さとアタッチメントロスのパーセンタイル曲線も1988年に対し1999年はやや右方移動が認められた。また,1年間に喪失歯が発生し,10本以下を持つものが4名増加し,20本以上を持つものが4名減少した。この結果は,1年間に歯周健康状態が悪化していることを示すものと思われる。ベースラインと本年度に採取した歯周以外の情報,血液生化学値,血中ビタミン,栄養データ,全身健康状態,常用薬などの結果とあわせて現在分析を行っている。 次年度は,一連の調査結果を基に歯周疾患のマーカーの決定と歯周疾患指数と生活習慣項目,全身健康指標(血液生化学検査値,運動機能など)との関連について理論回帰モデルを作り分析を行う。
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