研究課題/領域番号 |
09470472
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
中村 亮 徳島大学, 歯学部, 教授 (30034169)
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研究分担者 |
大塚 千亜紀 徳島大学, 歯学部, 助手 (00263848)
冨田 耕治 徳島大学, 歯学部, 助手 (10263849)
増田 かなめ 徳島大学, 歯学部, 助手 (30243710)
吉岡 昌美 徳島大学, 歯学部附属病院, 講師 (90243708)
日野出 大輔 徳島大学, 歯学部, 助教授 (70189801)
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キーワード | 自己防御機構 / アルギニン関連酵素 / 細胞毒性 / 熱ショック蛋白質 / 歯周病原性 / Porphyromonas gingivalis |
研究概要 |
まず、Porphyromonas gingivalis(P.g.)より精製したアルギニン・カルボキシペプチダーゼについてさらに酵素タンパクとしての性質を調べた。本酵素は、SDS-PAGEで3つのバンドとして泳動したが、それぞれのN末端アミノ酸配列は30残基まで全く同じであった。本酵素はペプチドのC末端に存在するアルギニンを遊離させるとともに、リシンに対しても強い親和性を示した。この結果から、本菌のアルギニン・カルボキシペプチダーゼはトリプシン様酵素と協調して作用することにより、タンパク質からエネルギー獲得に必要なアルギニンやリシンを遊離するものと考えられる。さらに、本菌が実際にこれらのアミノ酸からATP産生を行っているかどうかについて予備的に調べたところ、アルギニンまたはヒプリル・アルギニンからのATP産生を認めた。このことは、NO産生酵素の一つであるアルギニン・デイミナーゼの存在を予見するとともに、同時に、NOの産生は本菌自体の強力な宿主攻撃因子となっていることを示唆している。 前年度の報告でP.g.に温熱刺激を与えると熱ショック蛋白質(Hsps)を産生することと、その性質の一端を明らかにした。P.g.の産生するHspのN末端アミノ酸配列をみると、E.coliのHspsと高いホモロジーを示すが、特に、GroEL様Hspは他の歯周病原菌の一つと考えられているBacteroides for-sythusが産生するHspと高いホモロジーを示すことが分かった。このことは、両菌の強い歯周病原性並びに自己防御機構と何らかの関係を示唆するものである。 次に、P.g,の変異株を用いた細胞毒性の検索では、トリプシン様酵素活性の消長と細胞凝集活性、細胞毒性活性との間に強い関連性が認められた。他のアルギニン代謝関連酵素についてもこれらの細胞毒性活性との関連について追求中である。
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