| 研究課題/領域番号 |
09470473
|
|---|
| 研究機関 | 九州大学 |
|---|
研究代表者 |
中田 稔 九州大学, 歯学部, 教授 (40014013)
|
|---|
| 研究分担者 |
早崎 治明 九州大学, 歯学部, 助手 (60238095)
山崎 要一 九州大学, 歯学部, 講師 (30200645)
藤瀬 多佳子 九州大学, 歯学部, 助手 (50284518)
|
|---|
| キーワード | 咀嚼 / 脳機能 / 摂食行動 / 口腔感覚 / 体温調節 / 顎運動 / 食品の症状 |
|---|
| 研究概要 |
近年、咀嚼と全身の健康に関する話題がクローズアップされてきており、科学的な根拠の実証が急務となっている。本研究は、食行動中に咀嚼による感覚入力が、中枢を介して恒常性維持のためのエネルギー代謝調節等の全身の諸機能にどのように関与しているか検証し、そのメカニズムの解明を試みることが目的である。摂食時の口腔内感覚を変化させる目的で、固形飼料または粉末飼料、通常の固形飼料または低硬度飼料、あるいは、液体飼料など様々な飼料を、離乳食後より正常ラットに与え、飼育した。体重成長曲線を比較すると、成長のスパートを過ぎた頃から、粉末飼料群の体重が固形飼料より小さくなった。内臓脂肪量は、成長期には両群間で有意な差は認められず、体重差が有意になった頃より、粉末飼料群が有意に小さくなった。成長期のラットについて血糖値、肝臓重量/体重百分率を比較すると粉末飼料群が固形飼料群より小さいことがわかった。体重差が有意になった頃には、両群間で血糖値には有意差はなく、粉末飼料群の血中遊離脂肪酸量が小さかった。各飼料で飼育した成長期のラットの体温変化を、摂食、飲水、運動測定装置内で、無麻酔無拘束下で、腹腔内に慢性的に埋入した体温測定用テレメトリーセンサーを用いて測定した。その結果、1日の体温変動について比較すると、明期と暗期の体温変動幅が、粉末飼料飼育群のほうが大きいことがわかった。また、24時間の絶食負荷を与えた場合、暗期の体温減少量が粉末飼料群で大きいことがわかった。以上のことから、性状の異なる固形飼料と粉末飼料は、咀嚼時に異なる口腔内感覚を生じさせ、体重差が顕在化する前に、すでに、消化過程や代謝に異なる影響を与える可能性が示唆された。現在、食事誘導性熱産生と口腔内感覚の関連性について検討中である。臨床的研究としては、咀嚼時の口腔内感覚の影響がみられる咀嚼運動の終末位について解析中である。
|
