研究概要 |
我々はこれまで2位に置換基を持つシクロヘキセノール誘導体に対して光学活性な配位子を持つパラジウム錯体を反応させることにより、π-アリルパラジウム錯体を形成させ、求核剤を攻撃させることによる不斉合成を検討してきた。その結果2位にアリール基を持つ場合高い鏡像異性体過剰率を持つシクロヘキセノール誘導体の得られることが分かり、これを出発原料として(+)-crinamine,(-)-Haemanthidine,(+)-Pretazetineの全合成に成功した。又その過程で中間体であるp-アリルパラジウム錯体を合成しX線によってその構造を確認した。次に2位に様々な置換基を持つシクロヘキセノール誘導体について不斉合成を検討した。その結果2位にシリルオキシメチル基を持つ場合比較的良い収率(80%,84%ee)で求核剤としてアニリン誘導体を導入することが出来た。そこでこの化合物から光学活性なStrychnineを合成する計画を立て、オルト位にブロム基を持つアニリン誘導体を求核剤として用いたところ同様の収率で目的とする化合物が得られた。この化合物をstrychnineを合成する上で重要な中間体となるであろう4環性化合物に導いた。この化合物はstrychnineを合成する上で極めて重要な中間体と考えられ、現在その全合成を行っている。
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