研究概要 |
1.光学活性ベンズアルデヒドと種々のシリルケテンチオアセタールとの不斉アルドール反応では、高立体選択的にanti-アルドール体が得られ、ベンズアルデヒドの不斉を効率よく炭素鎖に移しかえることができた。 2.ある種のチオアセタール体は元のチオエステルから誘導したチタンエノラートと光学活性ベンズアルデヒドとのアルドール反応では、高い立体選択性でanti-アルドール成績体を与えることが判明した。 3.光学活性ベンズアルデヒドから2回の不斉アルドール反応により、高立体選択的並びに高光学収率で4つの連続した不斉炭素を持つスチリルラクトンの共通合成中間体の合成に成功した。本化合物から5員環ラクトン構造をもつスチリルラクトンのゴニオフフロン、ゴニオブテノライドA、Bの不斉全合成を達成した。 4.上記5員環ラクトン合成中間体からラクトールを経由する6員環ラクトンへの変換法を開発し、6員環ラクトン構造をもつスチリルラクトンのゴニオジオール、ゴニオトリオール、8-アセチルゴニオトリオール、アルトラクトン及び9-デオキシゴニオピピロンの不斉全合成に成功した。 5.スチリルラクトンのゴニオフピロンを不斉全合成し、提出されていたゴニオフピロンの立体構造は誤りであり、絶対構造も含めてゴニオフピロンの正しい構造を合成的に確定した。 6.スチリルラクトンのゴニオヘプトライドAをゴニオフピロンから変換合成し、ゴニオヘプトライドAの構造は提出されている8員環ラクトン構造ではなく、テトラヒドロフラン環をもつ構造であることを合成的に確定した。 7.光学活性ベンズアルデヒドから2度の不斉アルドール反応及びベンゼン環のカルボン酸への酸化反応を経由して、抗潰瘍性抗生物質AI-77Bのアミノ酸部分を不斉合成し、AI-77Bの類似体を合成した。 8.光学活性ベンズアルデヒドから導いたニトロンとオレフィンとの1,3-双極子環状付加反応で立体選択的にcis-3,5-ジ置換イソキサゾリジン体を与えた。
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