医薬素材としての棘皮動物由来の生物活性スフィンゴ糖脂質の探索

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09470486
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 樋口 隆一 九州大学, 薬学部, 教授 (60122727)
• 研究分担者: 稲垣 昌宣 九州大学, 薬学部, 助手 (90274480) ; 山田 耕史 九州大学, 薬学部, 助手 (00253469) ; 宮本智 文 九州大学, 薬学部, 助教授 (40182050)
• キーワード: 棘皮動物 / ヒトデ類 / ナマコ類 / ウミユリ類 / スフィンゴ糖脂質 / 単離 / 構造決定 / 生物活性

研究概要

ヒトデ、ナマコ等の棘皮動物には、生物活性スフィンゴ糖脂質の存在が期待される。本研究は新規医薬素材の探索を目的に、棘皮動物からスフィンゴ糖脂質を徹底的に単離、構造決定し、生物活性を評価する。平成10年度はスフィンゴ糖脂質の抽出、単離と平行してそれらの構造決定を主に行い、以下の様な成果を得た。
1. ヒトデ類については、まずヤツデスナヒトデから得ていた3種のガングリオシド分子種の構造を決定した。それらはGM3型ガングリオシド分子種であった。更に2種のセラミドラクトシド分子種を得たので、それらの構造決定を急いでいる。アオヒトデから得ていた2種のガングリオシド分子種の内、1種の構造を決定した。それはタンデム型ジシアロ構造を有していた。オニヒトデからは新たに1種のガングリオシド分子種を得たので構造解析を行っている
2. ナマコ類については、まずトラフナマコから得ていた3種のセレブロシド分子種と3種のガングリオシド分子種の構造を決定した。ガングリオシド分子種はいずれもシアロシル-グルコセレブロシド構造を基本構造に持っていた。ニセクロナマコから得ていた3種のセレブロシド分子種の構造を決定し、更に3種のガングリオシド分子種を得たので構造解析を急いでいる。ジャノメナマコから得ていた3種のセレブロシド分子種の構造も決定出来た。マナマコから得ていた3種のセレブロシド分子種の構造も決定し、更に同ナマコのガングリオシド成分を検索して3種のガングリオシド分子種を得た。
3. ウミユリ類については、ニッポンウミシダから得ていた2種のセレブロシド分子種と1種のリン糖脂質分子種の構造を決定した。

研究成果

• [文献書誌] Koji Yamada: "Isoation and Structure of Biologically Active Glycosphingolipids from the SeaCucumber Cucumaria echinata" Eur.J.Org Chem. 2. 371-378 (1998)
• [文献書誌] Koji Yamada: "Isolation and Structure of Biologically Active Gangliosides from the Sea Cucumber Holothuria pervicax" Eur.J.Org Chem. 11. 2519-2525 (1998)
• [文献書誌] Ryuichi Higuchi: "Partial Synthesis of a Sea Cucumber Gangliosides Analogue from a starfishCerebrosides" Eur.J.Org Chem. 1. 145-147 (1999)
• [文献書誌] Satoshi Kawatake: "Glycosphingolipids from the starfish Luidia maculata 2 Isoation and Structure of a GM3‐Type Gangliosides Molecular species" Eur.J.Org Chem. in press.
• [文献書誌] Masanori Inagaki: "Glycosphingolipids from the starfish Linckia laevigata 1.Isoation and Structure of a New Gangliosides Molecular species" Eur.J.Org Chem. in press.
• [文献書誌] Kazuyoshi Arao: "Isolation and Structure of Inositolphosphoceramide from the Feather Star Comanthus japonica" Chem.pharm Bull. (accepted). (1999)