急速に高齢社会を迎えつつある現在、老人性疾患治療薬の開発は急務である。その中で、加齢に伴うコレステロールの蓄積は動脈硬化等の種々の重篤な疾病を誘発することから、非常に深刻な問題となっており、より有効なコレステロール低下薬の出現が待たれている。このような背景から、スクワレン合成酵素阻害に起因する強力なコレステロール合成阻害活性を持つビリジオフンジン類化合物やザラゴジン酸類化合物の合成研究は社会のニーズに沿ったものであり、これらの天然物はもとより、種々の誘導体の供給をも可能にする効率的合成法の開発を目的に、本課題研究を開始した。平成10年度においては、既に前年度でビリジオフンジンAトリメチルエステルの全てのジアステレオマーの合成に成功したので、エステルを完全に加水分解しビリジオフンジンAとそのジアステレオマーに誘導することを検討した。その結果、4級中心上にあるエステルの加水分解が進行せず、ビリジオフンジンAの全合成の完成までには至らなかった。現在この点の解決を目指し検討中である。また、これとは別にザラゴジン酸類化合物の合成検討も開始し、鍵段階であるジアルケニルカルビノール誘導体のジヒドロキシル化反応について、様々な基質を作成し検討中である。
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