研究概要 |
今回採択された研究の目的は,1.置換されていないアミン基を含むグリコサミノグリカン糖鎖などのこれまで見逃されてきた糖鎖あるいは糖鎖配列を特異的に検出・定量するための新しい測定法を開発する.2.組織におけるプロテオグリカンの存在部位を,特異的な抗体を用いた染色法によって明らかにするとともに,現有する画像解析システムを接続することによって組織染色法を定量的に扱うことのできる方法を開発する.3.核磁気共鳴法を用いて糖鎖と標的物質の相互作用を解明する.4.キャピラリー電気泳動法による2分子間相互作用の定量化を目的とした新しい方法を開発する.といった測定目的が明確な分析法の開発を中心に置き,これらを用いてグリコサミノグリカンの生理的機能を総合的に解析することである. 今回,新たにヒト尿中に排泄されているケラタン硫酸の単離精製と構造解析,ヘパラン硫酸の微量分析法,皮膚デルマタン硫酸の構造多様性とその分布,哺乳動物におけるグリコサミノグリカンの分布,銅イオンを用いたグリコサミノグリカンの検出など,本研究の目的を達成するため,着実に成果を挙げている.また本研究費によって購入したキャピラリー電気泳動装置は順調に作動しており,近い将来新しいグリコサミノグリカンの分析法として発表する予定である. グリコサミノグリカン糖鎖の担う細胞情報を解明しようとする試みは国の内外を問わず盛んに行われている.本研究で得られる成果は新しく発見された現象の本質を解明するための手段として有効に利用され,貢献するものと期待される.
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