1.生理的条件下で電荷を持つ三級アミン型局所麻酔薬はIII-IVリンカー中の疎水性アミノ酸IFM中のフェニルアラニン(F)と疎水性相互作用を、またIFMの前後に所在する酸性アミノ酸と静電相互作用をしている。 2.同上、条件下で電荷を持たないベンゾカインは三級アミン型局所麻酔薬と同様に脂質膜の極性基部位に存在する。しかしながら、III-IVリンカーとは相互作用しない。 3.III-IVリンカー中のIFM部位周辺は概ねαヘリックス状の構造を取っている。不活性化ゲートが閉まるときのIFM部位の構造はイソロイシン(I)とIFMの次(C端側)のスレオニン(T)との水素結合が不活性化ゲート粒子(IFM)の構造形成に重要な役割を果たしている。 4.ペンタペプチドKIFMKはIII-IVリンカーと特異的に相互作用をすることによりIII-IVリンカー中のIFM残基周辺のαヘリックス構造を安定化する。以上の事から、本研究でターゲットとしたナトリウムチャンネルのIII-IVリンカー部位に遺伝子突然変異アミノ酸を持つ先天性パラミオトニア(PMC)に対しては、III-IVリンカー部位に結合する三級アミン型局所麻酔薬やペンタペプチドKIFMKをリード化合物としてIFMTが形作るαヘリックス様の構造を引き起こし安定化する薬物の分子設計を行えば良いと考える。
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