研究課題/領域番号 |
09470496
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山添 康 東北大学, 薬学部, 教授 (00112699)
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研究分担者 |
吉田 真 東北大学, 薬学部, 助手 (90201011)
永田 清 東北大学, 薬学部, 助教授 (80189133)
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キーワード | グレープフルーツ / 薬物相互作用 / 薬物の安全性 / チトクロームP450 / 消化管 |
研究概要 |
消化管にどのような薬物代謝酵素が発現しているかを知るため、チトクロームP450に特異的な抗体を用いてウエスタンブロット解析を行い、CYP2C,CYP2DおよびCYP3Aの発現を確認した。そこでグレープフルーツジュース抽出物および単離精製物をヒトミクロソーム画分に添加してチトクロームP450分子種の活性に対する影響を調べたところ、グレープフルーツ抽出物はCYP3A4だけでなく肝にのみ発現するCYP2C19などの活性を阻害することがわかった。これまでに報告されているグレープフルーツジュース相互作用はそのほとんどがCYP3Aの関与を示すものであり、なぜCYP3A4特異的に阻害が起こるのかを知るため、また阻害が消化管に限局されるのか否かを知るためオメプラゾール服用時のグレープフルーツジュースの影響を調べた。オメプラゾールはヒト体内で2つの経路で代謝される。1つはCYP2C19による5位水酸化によって、もう1つはCYP3A4によるスルホン体への酸化によって変換される。300mlのジュースを飲んだボランティアにオメプラゾール(20mg)を服用してもらい、5位水酸化体とスルホン体の血中動態を比較した。その結果5位水酸化体のAUCは変化せず、スルホン体のAUCのみが増加した。これらの結果から腸管に発現するCYP3A4のみがグレープフルーツジュースによって影響を受けることが明らかとなった。グレープフルーツジュースから単離したフラノクマリン誘導体を用いて阻害の機構について検討したところ、これらフラノクマリン誘導体は競合だけでなく、酵素タンパクを不可逆的に失活させることによって阻害作用を示すことが明らかとなった。コップ1杯のグレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリン誘導体量は1mg以下であり、これらはCYP3A4に高い親和性を持ち、消化管内でCYP3A4に捕捉されるために消化管特異的な阻害が起きるものと推定される。
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