研究課題/領域番号 |
09470504
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70107100)
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研究分担者 |
橋本 均 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (30240849)
松田 敏夫 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00107103)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | アストログリア / ニューロン / 細胞死 / エンドセリン / 虚血 / Na^+-Ca^<2+>アンチポーター / カルシニューリン / グリオーシス |
研究概要 |
本研究は脳におけるグリア細胞の機能的役割を明らかにする目的の中で、とくに脳障害における神経細胞死をニューロン-グリアの分子連関の破綻から追求し、神経細胞死にともなうグリアの活性化、グリオーシスが有益なものか否かに具体的解答を求め、グリア機能を制御することにより、これらの過程を調節する薬剤開発を拓く展望を持って実施したもので、以下の各成果を得た。 1.大脳皮質の穿刺傷害によって惹起される反応性アストロサイトの増加は、内因性のエンドセリンによってエンドセリンB受容体を介して起こり、B受容体アンタゴニストによって抑制できることが明らかになった。 2.エンドセリンは、低分子量G蛋白Rhoおよびfocal adhesionでの蛋白のチロシンリン酸化の機構により細胞骨格再構成を起こした。 3.再還流障害としてのCa^<2+>パラドックス障害は、ニューロンには認められずアストロサイトに特異的であり、その機構は、Na^+-Ca^<2+>アンチポーター(NCX)の逆モードを介する過流入がトリガーとなり、細胞内に活性酸素が増加する一方、カルシニューリンが活性化し、NF-kBの活性化が細胞死シグナルとして働いていることが明らかになった。 4.この細胞傷害(死)を保護する薬物について検討した結果、NCX、カルシニューリン、カスパーゼ、カテプシン等の阻害薬、種々の脳機能改善薬、あるいは神経成長因子(NGF)に保護作用が見出された。 本研究によって、アストロサイトの形態制御と細胞活動の変化(活性化)過程にエンドセリンシグナル系が関与することが示され、遅発性グリア細胞死の機構をイオン輸送体-細胞内シグナルの面から詳細に解析され、アストロサイトの病態的意義、脳虚欠再還流障害機構を追求する新しいin vitroモデルが確立された。本研究の結果を基にアストロサイトをターゲットとする新しい薬物の開発が期待される。
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