研究課題/領域番号 |
09470507
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
工藤 一郎 昭和大学, 薬学部, 教授 (30134612)
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研究分担者 |
桑田 浩 昭和大学, 薬学部, 助手 (80286864)
新原 智子 昭和大学, 薬学部, 助手 (60266161)
中谷 良人 昭和大学, 薬学部, 助手 (80266163)
厚味 厳一 昭和大学, 薬学部, 助手 (70276608)
村上 誠 昭和大学, 薬学部, 助教授 (60276607)
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キーワード | アラキドン酸代謝 / プロスタグランジン / cPLA_2 / sPLA_2 / COX / アポトーシス |
研究概要 |
本年度は以下の2点に関して、各PLA_2アイソザイムの機能について詳細に解析した。 【1】アラキドン酸代謝とPLA_2 cPLA_2(1)cPLA_2の発現解析及び阻害剤を用いた解析により、種々の細胞(肥満細胞、マクロファージ、骨芽細胞、線維芽細胞等)の即時、遅発両アラキドン酸代謝反応にcPLA_2が必須であることが示唆された。(2)cPLA_2過剰発現細胞を樹立し、cPLA_2が即時、遅発両アラキドン酸代謝反応に必須であることを確認するとともに、cPLA_2がリン脂質再構成には関与しないことを示した。(3)cPLA_2から遊離されたアラキドン酸は即時応答ではCOX-1またはCOX-2に、遅発応答では主にCOX-2に供給されてプロスタグランジンに代謝されることを示した。(4)細胞の活性化に伴い、cPLA_2が細胞質からCOXの存在する核膜近傍に移行することが確かめられた。(5)核膜画分に、cPLA_2ドメインとCa^<2+>依存的に会合する分子量約60kDaの蛋白を同定し、その部分配列を決定した。 sPLA_2(6)sPLA_2の発現解析及び阻害剤を用いた解析により、誘導型酵素であるIIA型sPLA_2が遅発的プロスタノイド産生に関与することを示した。(7)各種sPLA_2アイソザイムの過剰発現株を樹立し、IIA型とV型sPLA_2が共にIL-1依存的な遅発的アラキドン酸遊離を増強することを明らかにした。(8)(7)の系を用いて、IIA型及びV型sPLA_2の酵素活性と膜結合ドメインの両者が機能発現に必須であることを示した。(9)sPLA_2はCOX-2と機能的に連関して遅発応答に寄与したが、大量に発現された場合にはCOX-1とも機能連関し、即時応答も増強した。(10)sPLA_2の効率的な機能発現には、cPLA_2の存在が必要であった。(11)新規sPLA_2のひとつであるIIC型はアラキドン酸代謝に関与しなかった。 【2】細胞死(アポトーシス)とPLA_2 cPLA_2(12)アポトーシスに進行に伴い、cPLA_2がcaspase-3によりAsp^<522>で限定分解され、活性消失に至ることを明らかにした。(13)Caspase-3により限定分解されたcPLA_2の断片はCa^<2+>非依存的に膜画分に移行した。 sPLA_2(14)IIA型sPLA_2がアポトーシス細胞の膜から効率良くアラキドン酸を遊離することを見出し、炎症部位での本酵素の役割の一つの可能性が提唱された。
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