目的とする治療作用と副作用を分離できる創薬技術の開拓とサイトカイン療法の最適化に関する検討を行い、以下の結論を得た。 1)IL-6(インターロイキン-6)を至適条件でPEG(ポリエチレングリコール)バイオコンジュゲート化することで、in vivoにおいて血小板増加作用を500倍にも増強することに成功した。また、その効果は血中滞留性、組織移行性、安定性、比活性をはじめとする、諸因子の有機的バランスに依存していることが明らかとなった。2)PEGバイオコンジュゲーションにより、サイトカインの投与量の大幅削減、および副作用発現に関わる組織への分布を抑制するという、体内動態制御が可能となり、その結果、サイトカインの多様なin vivo生理作用の中から目的とする治療作用をより選択的に増強し得ることが示唆された。3)PEGよりもさらに緻密な動態制御、および機能付与が可能な新規修飾高分子としてPVPが有用であることを見出した。In vivoにおいてPVP(ポリビニルピロリドン)はPEGと少なくとも同等のバイオコンジュゲート効果を有したことから、新規機能付与を行うための幹高分子としてのPVPを提示し得たものと思われる。
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