研究課題/領域番号 |
09470515
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
濃沼 信夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60134095)
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研究分担者 |
伊藤 道哉 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70221083)
西沢 理 信州大学, 医学部, 教授 (60091815)
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キーワード | 血液腎透析 / 腹膜腎透析 / QOL / 健康度 / 経済分析 / 診療報酬 |
研究概要 |
【目的】腎透析の医療は、技術革新による療養期間の延長や合併症の複雑化、患者の高齢化に伴う痴呆症の発現や家族介護の負担、さらには医療財源の逼迫という深刻な課題に直面している。そこで、こうした環境の下での腎透析患者のQOLを多面的に把握するとともに、国により実施割合に大差のある血液透析(HD)と腹膜透析(PD)についてQOLと経済の両面から比較検討する。 【対象と方法】地域の基幹4病院の腎透析患者158人(HD140人、PD18人)のQOL等を約2年間追跡するとともに診療報酬(レセプト)データを累積した。QOLは横断的調査に加え、自覚的健康度の経時的変化を患者、家族、医療者の3者からLinear analog scale等で把握した。 【結果と考察】追跡期間の長いHD患者50人についてみると、透析前後で患者の健康度自己評価と看護婦から見た患者の健康度との間には正の相関関係がみられ(p<0.01)、看護婦は患者の健康状態をかなり的確に把握していることが明らかとなった。また、透析前の患者自身による健康度自己評価とレセプトの間には負の相関関係がみられ(p<0.01)、患者の自覚的健康度が低いときにはレセプトの点数が上昇する(合併症などへの医学的反応が行われる)傾向がみとめられた(p<0.01)。横断的なQOL調査の対象は143人(HD127人、PD16人)で、男60.8%、女37.1%、平均年齢59.1歳、闘病期間12年2ヶ月、透析期間7年3ヶ月である。HDとPDを比較すると、HD患者ではだるさについてのばらつきが大きい(p<0.05)。HDに比べてPDの症例数が少なかったため十分な統計学的検討はできなかったが、PD患者でQOLが高くなる傾向にある。
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