研究概要 |
【背景と目的】職務満足度の高い医療者は患者の医療に対する満足度にプラスに影響を及ぼすと思われるが、今まで医療者の職務満足度と患者満足度の関係を調べた研究は少なく、しかも、多面的な職務満足と患者満足の関係を検討した例は少ない。しかし、医療サービスの質を改善するための知見を得るには、包括的な指標よりも、職務に関し多面的な満足度指標を用いることが望ましい。そこで、本研究では医療者の多面的な職務満足を測定する方法を開発し、その関連因子を解析することを目的とした。 【対象と方法】病院医療者の職務満足につき、面接、自由記載アンケート、国内外の文献調査に基づき質問票を構成し予備調査と改訂を経て、自記式質問票を開発した。多面的な職務満足(医療サービスの質、患者との関係、病院の物的資源、病院の人的資源、職場の相互関係、職務における地位、自立・裁量権、職場における敬意、プロとしての成長、個人・生活[報酬,職場の安定性,自由時間,ストレス]、および総合的満足度を、内包するものである。その質問票を用いた調査の対象は本調査に参加した全国多施設の病院の医療者(経営首脳陣と看護婦。対象病院の内6病院は、医師、コメディカル、事務も対象。) 【結果・考察】回収データの解析により、統計上も高い信頼性と妥当性を示すにいたった。また、病院ごとに、各軸のスコアは病院間の実質的な差を検出するにいたった。また、一病院内においても、職務上の管理レベルや職種によって、医療者群間に有意で実質的な差を検出することができた。
|