研究課題/領域番号 |
09470530
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研究機関 | 愛媛県立医療技術短期大学 |
研究代表者 |
岡田 真理子 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (60111118)
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研究分担者 |
櫃本 泰雄 愛媛大学, 医学部・附属病院, 助手 (90136333)
富永 彬生 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (90036450)
佐川 輝高 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助手 (90162320)
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キーワード | 血小板 / 細胞傷害反応 / 細胞内Ca^<2+> / レーザーサイトメーター / flow cytometer / Fluo-3 / propidium iodide |
研究概要 |
レーザーサイトメーターを用いて、ガラスに付着させたFluo-3負荷標的癌細胞と血小板と反応させ、個々の標的細胞内Ca^<2+>濃度変化を測定した。この反応系では標的細胞に血小板を添加した直後に一過的に急激な標的細胞内Ca^<2+>の上昇がみとめられ、短時間内に引き起こされる反応の追跡にはレーザーサイトメーターは適切な方法であることが確認されたが、この方法では長時間、反応を追跡することは事実上不可能であった。今回はさらにflow cytometerを用いることにより、血小板とFluo-3負荷標的細胞を浮遊状態で一定時間反応させた後の標的細胞の細胞内Ca^<2+>濃度を526nmの蛍光で測定した。この方法では血小板と標的細胞を混合した直後では、コントロール標的細胞と細胞内Ca^<2+>濃度に差は認められなかったが、反応が進むに従って、血小板を加えた標的細胞の細胞内Ca^<2+>濃度のほうがコントロールに比べて高まることが分かった。レーザーサイトメーターで得られた結果と一致しなかった原因として、1)付着状態と浮遊状態で標的細胞の条件が異なる、2)flow cytometerでは血小板と標的細胞を混合してから測定までに短時間ではあるが間隔が空くため、反応直後の急激な変化を見落としている、などが考えられた。いずれにせよ、血小板により標的細胞内でCa^<2+>濃度の変化が起きることが分かったので、Ca^<2+>濃度の変化が細胞傷害反応とどのように結び付いているのか、さらに検討を加えている。 flow cytometerによる測定で、血小板との反応が進むに従い標的細胞の側方散乱光強度が増大していくことが分かった。傷害反応に伴い標的細胞の核のクロマチン凝集やミトコンドリアの膨化が起こることが知られていたが、側方散乱光強度増大がその現象を反映しているものと考えられた。さらにpropidium iodideを反応混合物に加えると標的細胞の生細胞と死細胞を区別できることが出来るので、526nm蛍光に加え前方散乱、側方散乱、645nmの蛍光を同時に測定することによりCa^<2+>濃度の変化と細胞傷害活性の複数の指標を同時に得ることが出来ると考えている。来年度はこの方法で癌細胞死の過程がnecrosisなのかapoptosisなのかについても検討を加える。
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