研究概要 |
本研究は日本における老人病院の看護管理の特徴を明らかにし,看護管理モデルを作成することを目的に行う4年間の継続研究である.平成9年度は日本における老人病院の看護管理の実態を調査する段階であった. まず,郵送法により,老人病院に自由記述式のアンケート調査を行った.まず特例許可病院,精神病院,療養型病床群許可病院の計2,642病院にアンケートヘの協力依頼を申込み,562病院,計1,369名からアンケート協力の承認を得てアンケートを送付した.その結果,613名からの返送を得た(返送率44.8%).現在,回答をパーソナルコンピューターへ入力しているが,それぞれの看護管理者が問題を抱えながらも様々な取り組みをし,医療法改正,介護保険導入等をめぐり,今後の展望をもちつつ改革を進めたいという希望の内容が多くみられた. また,老人病院の歴史的背景からみて,看護管理上の困難,および現在取り組まれている改革課題については共通した点がみられている. 看護管理者への面接調査は9病院に行った.その結果,看護管理方法にはいくつかのタイプがあると考えられた.すなわち,管理者の方針のもととなっている考えが,老人の安全・安楽を優先しているもの,老人の所属へのニードや老人への愛情を大切にするもの,老人の自尊心・自己実現・Quallty of Lifeをめざすもの,一般的に看護の質の向上の視点にたっているもの等である.しかしながら,看護管理者自身はそのことに気づいておらず,経験的に,あるいは現実的に行っていた. 平成10年度にも病院管理者への面接調査を引き続き行い,詳しく分析していく予定である.
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