研究概要 |
本研究は日本における老人病院の看護管理の特徴を明らかにし,看護管理モデルを作成することを目的に行う4年間の継続研究である.2年目である本年度は,昨年行った自由記述式のアンケート調査について,老人病院管理者が(1)問題と考えている内容,(2)工夫,試行している内容,(3)管理者自身の質の向上にむけての努力,(4)とりくみの効果の現れについて分析した.その結果,これらが病院の理念,方針および病院の歴史,背景,今後の見通しまで含んだプロセスに関係していることと,老人病院における様々な問題の深さ,およびそれに気づき変えていこうとしている老人病院管理者の姿勢が明確となった. さらに,面接調査については,昨年度行った9病院の結果に加え,アンケート調査により効果的な取り組みを行っている4病院の管理者に対して行った面接調査結果を加えて分析した. その分析の結果,老人病院における看護管理モデルの試案として,以下の要素が見いだされた. (1)看護管理者がもつ看護の理念,理想(または問題の明確化) (2)改革の原動力:ケアによる老人のよい反応(効果)の体験,スタッフの主体性をくみあげ,開かれた看護管理の提示・実践,医療技術からケアワークへ変えられたスタッフの意識 (3)改革実施上の方法:原動力をひきだすための様々な方法,老人ケアに必要な技術についての継続教育 3年目の平成11年度は,改革にとりくんでいる病院において,どのように改革できているのか,特に,(2)改革の原動力,(3)改革実施上の方法に焦点をあて,その変化を調査する予定である。
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